kim-yh’s diary(学問のふくろう)

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移民2世教育の重要性:NHK9特集 (2016年1月8日)

「フランステロから見る移民2世教育の重要性」

 

現在前指導教授の下で科研の「日本における外国人高校進学

 

将来日本も外国人と一緒に多文化人口構造の中で生活するようになるだろう。

 

16日水曜日NHKニュースwatch9 『テロで揺れるヨーロッパ』は多文化社会、移民社会の入り口に立っている日本や韓国に示唆するものが大きい。

 

201511月パリで起きたテロ事件では、犠牲者の数だけでなく、実行犯がフランスで育ちフランス国籍を持つ移民の若者たちだったことも衝撃であった。事件で多くの人たちが「国を信頼できなくなったと」言うようになった。テロを防げなかったことへの政府への反発は、事件直後よりも強まっていると感じている。

移民の排斥や一部のモスクの閉鎖などを訴える極右政党の「国民戦線」が躍進しているのだ。その勢いは、フランスの将来を担うエリート層にも及んでいる。大統領や閣僚を多く排出した名門校、「パリ政治学院」で法律を学んでいるある青年は大学内で「国民戦線」を支援する団体を設立した。「国民戦線」を支持する最大の理由は、移民問題である。彼は

植民地からだったアフリカなどから多くの移民を受け入れてきたことが治安の悪化につながり、社会の脅威となっていると考えている。

テロが起きたあと、団体を支持する人が笛、学生メンバーの中からも国民戦線の議員として当選した人が4人も出たそうである。彼は「我々の社会に順のし、しっかり働く移民しか必要ありません。フランスの社会から恩恵を受けるだけの人は必要ないです。」

 

フランスで強硬の主張が広がっている現状について、今回、是非話を聞きたい人がいた。ノーベル文学賞作家のル・クレジオさんである。移民は難民を描いた作品も数多く発表し、社会のあり方について問いかけている。フランスだけでなく、ヨーロッパ全体で移民受入に反対の運動が見られる現象について、彼は「ヨーロッパにとっては“危険な動き”といえるだろう。国境を封鎖してもテロの解決方法にはならない。テロを起こすかもしれない人物は国境の内側にいるのだから。テロの実行犯は私たちの社会が生んだ若者の一部だった。しかし、人生に何の目標もなく道を見失ってしまったのだ。」

若者たちは、なぜ生まれ育った社会でテロを引き起こすのか。フランスのの隣、ベルギーのブリュッセルの一角にあるモレンべーク地区でその答えを得ることができた。スカーフを巻いた女性も多くて、ヨーロッパというよりも、アラブの街という雰囲気である。この地区ではおよそ10万人が暮らしているが、半数が北アフリカなどからの移民やその子孫で、多くがイスラム教徒である。この地区からシリアやイラクに渡った若者は、少なくとも30人はいるそうである。息子が過激派組織IS=イスラミックステートに加わったというジエラディンさんに話を聞くことができた。息子のアニスさんは父親がモロッコ出身でアニスさんもイスラム教を信じていたが、2年前突然「シリアに向かう」と言い出したのである。アニスさんは「なぜどの国もシリアのために動かないのか理解できない。もし誰も動かないなら、僕たち若いイスラム教徒が行動し助けなければ」と。アニスさんはベルギーにいたときは、移民の息子だという理由から就職できなかったという。

 

なぜアニスさんはISに加わってしまったのか。母のジェラディンさんは息子のある言葉が忘れられないと言う。「僕はベルギーにいればモロッコ人と見なされ、モロッコにいればベルギー人と見なされる。僕は誰?居場所はどこ?」嘆いたいた。「ISには居場所があり、自分の価値を認めてくれる。建国のために参加する」と言っていた。

 

解決の鍵は教育“若者に希望を”社会に居場所を見つけられずテロに走る若者たちの現状、その解決策はあるのか。ノーベル賞作家のル・クレジオさんにきいた。テロリストになるような若者たちは、社会に居場所がないと言われているがの質問に「彼らの一番の問題は、職に就けるかではなく、“アイデンティティーを持てるか”だ。鍵となるのは“教育”だ。孤立している人たちに適切な教育をすれば、アイデンティティーを持ってもらうことができる。彼らが人生に希望を持てるようにしなければならない。さもないと再び殺人者が生まれ、問題を起こすことになるだろう」

 

テロとどう向き合うか。若者をテロから遠ざけるためには教育が重要だということである。ル・クレジオさんのいう“教育”というのは広い意味で話していたとおもうが、実際に私たちが取材をしたブリュッセルでは一つの取り組みが行われている。『ジハード』というタイトルの演劇であるが、宗教的な理想を求めてシリアに渡った若者が戦闘で友人をなくして、苦悩する姿を生生しく描いているのである。そうすることで、若者がISに加わるのを防ごうという狙いである。

 

ISへの対策というと、空爆だとか、警備を強化するだとか、そうした面がどうしても目立つんですけれども、根本的な解決を目指すためには、社会での差別や格差に苦しんで不満や疎外感を強めている若者たちに目を向ける必要があるということだと思う。ところが今のヨーロッパを見ると、相次ぐテロや難民の流入をきっかけに、多様な文化に対する寛容な姿勢が失われていっているのではと懸念する。“移民社会”という異質なものを排除しようという動きが強まっているように感じる。ノーベル賞作家のルさんもそこに警鐘を鳴らしていると思う。同時に、そうした視点は格差や社会の分断について考えていく上で、私たちも大いに参考にすべきではないかと感じている。